Linux box 2023
貸与されていた MacBook Pro (M2 Max) があまりにも快適すぎて生活のすべてを乗せてしまっていたが、これを返却することで生活がすべて失われるのは避けねばならなかったのでLinuxマシンを新しく組んだ。私物の MacBook Air (2020, M1) は開発に使うにはまったく足りてない性能だが、満足のゆくスペックのMacBook Proを買おうとすると少なくとも50万円ほどの出費を覚悟になってしまう。そんなお金はない。
ジャンルとしてはポータビリティのないデスクトップPCだが、基本的にはまったくディスプレイには接続せず、すべての活動をSSH越しで行われている。VS Code Remoteをはじめとした開発環境の進化が進んでいて、想像以上に快適になっているのは仕事での経験から分かっていた(オフィスに24時間稼働のLinuxマシンを置いていた)ので、ここに抵抗はなかった。
直接のターミナルとなるのは最初に書いた性能の足りないMacBook Airで、ソフトウェアを開発するのには不足を感じるものの、sshしたりブラウジングしたりする分には十分…… と思うことにしている。実際はブラウザタブをたくさん(150タブ程度)開くと急に不安定になったりするが、本体の軽さと引き換えと思えば仕方ない。
種別 | 製品名 | 購入価格 |
---|---|---|
M/B | ASUS PRIME H610I-PLUS D4-CSM | \17,145 |
CPU | Intel Core i5-13500 (6 P-cores + 8 E-cores) | \37,980 |
メモリ | 64 GB (Crucial CT2K32G4DFD832A) | \16,300 |
GPU | なし | |
ストレージ | 1 TB (KIOXIA EXCERIA G2 SSD-CK1.0N3G2) | \6,480 |
ケース | Fractal Design Node 202 | \13,964 |
今回はとにかく消費電力 and コスパ重視のビルドとした。というか消費電力を気にするとコスパビルドになる。
Intel or AMD (Ryzen)
Ryzenのコスパは捨てがたいものがあったが、前回のPCではとにかくグラフィクスまわりが大変すぎて今回はiGPUがあるモデルを選ぶことを固く決意していた。NVIDIAのGPUを使っているとLinux Desktopはとにかくきつくて、ドライバは不安定、Wayland対応はほぼない(当時)、そんなこんなで次はコンフィグを変えようと思っていた。Desktop用途で使わないとなるともはやGPUを積むこと自体が単なる電力の無駄で、そうなるとIntelを使いたくなるのは自然の理というもの。
i5, i7のどちらにするかは少し悩んだが(i9は高価なのでパス)、PassMarkのランキングを見ると Ryzen 7 2700X (17,558) に対してi5-13500は2倍近いシングルスレッド性能 (32,301) が得られるということで、少々悩みつつも消費電力を勘案してi5を選択した。
24時間連続稼働することを想定して、消費電力を控えめにできるようパーツを選んだ。以前組んだマシンはアイドル状態でも500 Wほどを消費していて電気代に貢献!! という具合だったが、今回は気にならない程度、だと思いたい。
Arch Linux
今回もArch Linuxを選択した。リポジトリにあるソフトウェアやツール類の更新への追随がアグレッシブな点が気に入っている。アグレッシブすぎて再起動してから壊れないかちょっと緊張したり、MySQLの代わりにMariaDBだけがあるのは気になったりする…… が、特に後者はDockerの時代なので問題ない。
余談だが、Arch Linuxを使い始めた2012年当時はGentooと並ぶ尖った選択肢というイメージだったが、今となってはすっかり安定の択となっていそう。自分に合っているディストロがメインストリームになるのは多分喜ばしいことのはず。2023年現在の「尖った」選択肢は全然わからないけど、DistroWatchの上位にいるMX Linux, Mint, EndeavourOSはそれぞれDebian, Ubuntu, Archベースなので、今回のようにデスクトップに関心がない用途ならば素のArchで良いのだろう(?)。
感想
総じて大満足である。ミドルグレードのCPU (i5-13500) を選択したにもかかわらず、以前のRyzenマシン (Ryzen 2700X) やMacBook Pro (2022, M1 Max) と比べて性能が格段に上がっていて驚いている。ruby/rubyのフルビルドがRyzenマシンで104秒かかっているところ、今回のマシンでは37秒にまで高速化された。Ryzen 2700Xは当時のハイエンドで、CPUの性能には困らないように選んだはずだったのだが、数年でこうまで変わるとは。
24時間連続稼働の消費電力を見据えてパーツを選んだこと、VS Code Remoteのようなツールの進化、そしてTailscaleのような便利なVPNが登場しているおかげで、ターミナルのMacBook Airを持ち出すだけで家の強力な環境をどこでも使えて非常に快適。ポートを開けた家のIPのラズパイにsshしてデスクトップにWoLを送ってtmuxでvimみたいな世界観とは一線を画している。
ちょうど長期休暇(a.k.a. 有休消化)の始まりのタイミングで組んだので、ホスト名は "vacation" から数文字とって Vacat
とした。ホスト名が目に入るたびに休暇がほしくなる仕様。
そんな感じか。