saikoh.tk復活と9周年に寄せて

2024/6/26

こんにちは osyoyu です。

実はしばらくアクセス不可だったsaikoh.tkですが、このたびsaikoh.ukとして再開いたしました。

.tk ドメインのレジストラのFreenomが爆発した影響での障害でした。当面は .tk ドメインを再度取得することは困難そうでもあり、よく似た .uk ドメインでの再開となった次第です。.uk を使うのは @pikatenor のアイデア。

ボタンを押すことで「最高」の感情を伝えられるこのサイト、復活してから1日経たずの間に20万最高ほどが集まっており、不思議な気持ちになっています。どうぞご最高ください。


saikoh.tkが生まれたのは2015年4月なので、いつの間にか9周年を迎えていました。ボタンを押すと音が鳴って数字が増えるだけのサイトですが、「周年」と呼びたくなるぐらいには縁のあるサイトです。

記録が散逸し、記憶が曖昧になる前に、筑波大学でカルトなムーブメントを巻き起こしてきた「最高」の歴史を書き残しておくことにします。

誕生 (2015/4/25)

総合科目「競馬の世界」の前夜。午前6時集合の講義に危機感を覚えた友人たちが、ピーマン先輩(人名。先輩ではない)の家に集まり、プロジェクターで映像コンテンツを夜通し視聴することで寝坊対策を図っていました。筑波大学ではよくあることです。

この友人たちの間で流行していた表現——良い映像を見たとき、「最高!」と言いながらサムズアップすること——の拡張の試みとして、最高ボタンは生まれました。

こうして一晩で出来上がったのがコードがクソでボタンがダサくて音質がゴミで中の人がピーマンのサイト、すなわちsaikoh.tkです。ピーマン先輩の声にやたらエコーがかかっているのは風呂場で収録したから。

このサイトは図らずもTwitterに入り浸る筑波大学の学生を中心に小さなブームとなりました。ボタンを押すと音が出るプリミティブな刺激がウケたのか、増えた数字が同期されるのが面白かったのか(「1万回押したの誰だよw」)、はたまた「最高!」の音声が強烈な記憶を残すものだったのか。派生作品もいくつか生まれ、思いつきと深夜の勢いだけでつくられたわりには、それなりの流行を形成するに至りました。

最高プレゼンバトル (2016/1)


夏が過ぎ、秋学期もひと段落というころ。2016年の初頭に大きな転機が訪れます。

saikoh.tkを活用し、発表中の最高数で勝敗を決するイベント「最高プレゼンバトル」の開催です。「最高!」にとりつかれた仲間たちが集まり企画された、"聴衆完全参加型LT" でした。

観客は自分のスマートフォンなどを使用して、 http://saikoh.tk を開き、プレゼンターのプレゼン中に自分が「これは最高!」と思ったタイミングで「最高!」ボタンを押していただきます。

というルールのもと、皆が一心不乱に画面を連打し、大学のホールが鳴り止まぬ「最高!」で満たされる、集団催眠とも思える空間がつくられました。

百聞は一見に如かず、動画を見ていただくのが分かりやすい。saikoh.tkのカルト的人気を垣間見ることができる映像です。

2時間足らずで生まれた総最高数は538,413最高。イベントとして大成功を収めました。

他のプレゼンの動画もYouTubeに残されています。企画の中心メンバーに映像を志す者がいて本当によかった。

焼肉 最高 (2016/11)

「最高」の名を冠した、雙峰祭(学祭)の企画です。11月のつくばは冷え込むことが多く、しかし意外にも温かい丼物があまりないことに着目し、肉丼を出せばバカ売れするのではないか、というもくろみ。「最高金持ち丼」や「最高石油王丼」のようなメニュー名で売り出し、実際想定をはるかに超えて売れました。販売中にも肉のハナマサに何度か買い出しに行くはめに。

ところで意外にも丼物がない理由はまったく意外ではなくて、炊飯がまったく追いつかないからでした。……大変でしたね。


火の取り扱いをやや誤ったシーンで、隣の企画の人が「この様子をSNSでシェアしたら最高ステッカーもらえるのかな」とつぶやいていた思い出

春日LT『歴史』 (2017/6)

ピーマン先輩が春日LT(ツイートまとめ)で演じたライトニングトークです。筑波大学のLTの流行の「歴史」を振り返り、その中での最高プレゼンバトルの特異性を語っています。

このLT、自分を含めた友人たちの力を結集したものでした。大学の部屋で大真面目に議論と歴史考証を重ね、構成やスライドの完成度を追求した思い出。というのも、このLTは後述の最高プレゼンライブの宣伝を兼ねていて、しっかりとインパクトを残したかったから。

改めて見返すと、自分の現在のライトニングトークのスタイルに通ずるものを感じます。

最高プレゼンライブ (SPL) (2017/10)


生まれてから2年半。流行としてはとろ火の時期もありつつも、saikoh.tkは忘れ去られることなく生き残ってきました。その出自からは信じられないほど長命と言えるでしょう。

卒業を控えたこの時期、(たくさんのライブイベントに通っていた影響で)最高の「ライブ」をやる気持ちにあふれた仲間たちで企画されたのが、この最高プレゼンライブです。「公演中は携帯電話の音量を最大にしてください」

最高プレゼンバトルの形式を踏襲しつつも「ライブ」に進化させたこのイベント。歴戦のプレゼンターとオーディエンスが集い、大学の情報メディアホールを完全に埋めて大成功を収めました。

あくまでLTイベントではなくライブを作ることを追求し、オープニング用にブチ上がれる 映像を制作したり、各方面のツテを頼ってイベントロゴや楽曲の制作の依頼もしました。

カッコいい演出のためにジェットスモークマシンをレンタルしたのですが、会場のホールで試してみたら火災報知器を鳴らしてしまい(それはそう)、これは少しばかり怒られました。ATNDを見返したら「機材開放・立ち見席」を作っててちょっと笑ってしまった。

広報もしっかり。 前述の春日LTはもちろん、T-ACT(つくばアクションプロジェクト)との連動によるラヂヲつくば出演プレゼンターの事前インタビュー映像の公開、などなど……。

前回をはるかに超える100万以上の最高が生まれたこのイベント。KOBA789が開発したsaikoh.tkの新バックエンド "moon20x" が支えきり(いわく160万最高/秒を耐える)、まさに一連の最高コンテンツの集大成となった "最高" の場でした。

そして現在へ

公開から9年が経ち、saikoh.tkを知る者は大学にはほとんど残っていないはずですが、自分の中では .tk ドメインが死んだぐらいでは終わらせたくないぐらいの場所にいます。気が向きましたらsaikoh.tk改めsaikoh.ukをよろしくお願いいたします。